YNU PARTICLE THEORY LAB

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2023年度 セミナー情報

日程:月曜日の16:00~ が多い。
場所:総合研究棟 W棟 7階701号室 (詳細は アクセス)
過去年度のセミナーは以下を参照ください。
2月19日 月曜日 10:30 ~zoom情報:ミーティング ID: 955 6987 1161,パスワード:メール等でお問い合わせください。

坂東 昌子 氏 (愛知大学名誉教授・NPO法人あいんしゅたいん理事長)

性差の科学:なぜこの世界に男と女がいるのか?

こういうことを、初めに考えたのはほかならぬダーウィンである。私が赤松良子氏と知り合った頃、「身体、運動能力について男と女が違うことは見ただけでわかるが、脳はどうなんや」と疑問をぶっつけられて、その議論を突っ込んで長谷川真理子氏も巻き込んで、愛知大学現職中に「総合科目」で取り上げ、1冊の本を作った。それが「性差の科学」 である。この問題を現在の男女共同参画という視点から今一度見直してみたい。特に科学の世界に女性が参画して何が質的変わるのか、そんな問題も論じてみたい。
2月19日 月曜日 15:30 ~

坂東 昌子 氏 (愛知大学名誉教授・NPO法人あいんしゅたいん理事長)

物理屋が放射線防護の世界に関わって

3・11 TEPCO以後放射線の生体影響について、混乱が続き市民は何を信用していいかわからなくなった。物理屋として放射線リスクには責任もあるということも重なって、それ以後生物の世界に飛び込み、異分野に飛び込んだものとして様々な経験をしてきた。10年以上かかわってきて、この間、物理屋の立場から放射線の生体影響を研究し、これまでの「放射線による変異細胞は生体内で蓄積する」ことを基本としたLNT(閾値なし線形近似)を基礎にした放射線防護の原則に対して新しい定式WAM(もぐらたたきモデル)を提唱してきた。この度この実験的検証が始まりその最初の結果が出てきたWAMの検証が可能になり、2023年11月に行われたICRP国際ワークショップで発表した。ここまでの経緯と現状、そして将来展望をお話したいと思います。
1月29日 月曜日 15:00 ~

野村 敬明 氏 (四川大学)

Boosted indirect signal in multi-component secluded dark matter scenarios

本講演では多成分暗黒物質が標準模型の粒子とdark phtonを通じて弱く相互作用するシナリオを議論します。この場合には暗黒物質と核子や電子との散乱断面積は小さくなり、直接検出における検証は難しく制限も弱くなっています。そこで特殊なシグナルを得る可能性として、重い暗黒物質が対消滅し大きな運動量を持った軽い暗黒物質を生成する過程を考え、軽い暗黒物質がdark photonを放射する場合の間接検出実験からの制限・検証可能性を模索します。特に暗黒物質の残存量の観測値を説明するパラメータ領域における現在の制限と検証可能性についての結果を紹介します。 講演の前半で暗黒物質やdark photonに関するレビューを行い、後半で研究の解説をしたいと思います。

Super-Kamiokande検出器を用いた宇宙線ミューオンの電荷比と偏極の測定結果

講師: 中野 佑樹 氏 (東大宇宙線研)
日時:12月20日(水) 16:00~ 注意:普段と曜日が異なります。
概要:大気ニュートリノ振動実験では、ニュートリノのフラックス、到来方向分布、ニュートリノと反ニュートリノの成分比、ニュートリノのエネルギー分布の不定性が物理感度を制限している。特に、ニュートリノと反ニュートリノの成分比は、大気ニュートリノの生成過程から宇宙線ミューオンの電荷比と相関がある。また、エネルギー分布は、ニュートリノ生成過程である中間子の偏極によって形状が変化する。大気ニュートリノと一緒に生成されるミューオンを分析することで、このような不定性に観測的な制限を課すことができる。本研究では、Super-Kamiokande検出器で観測される崩壊電子事象を用いて、宇宙線ミューオンの電荷比と偏極を測定した。特に、その解析手法と測定結果について議論する。最後に、地下環境でのミューオン測定の今後のトピックについて簡単に紹介する。

輻射ニュートリノ質量生成模型におけるフレーバー物理・暗黒物質・レプトジェネシス

講師: 進藤 哲央 氏 (工学院大)
日時:12月11日(月) 16:30~
概要:輻射補正によるニュートリノ質量生成により、ニュートリノの微小質量を説明する模型に注目する。このような模型に登場する新粒子たちは、さまざまな現象論に寄与する。このセミナーでは、具体的な模型の例として、KNT模型とよばれる3ループによってニュートリノ質量を生成する模型をとりあげ、ニュートリノ振動、フレーバー物理、暗黒物質に関する現象論を議論し、さらにレプトジェネシスとよばれるシナリオを用いた宇宙のバリオン数非対象生成の可能性についても議論する。

Decoherence of Wave Packets in Neutrino Oscillation

講師: 尾田 欣也 氏 (東京女子大)
日時:11月27日(月) 16:00~
概要:この世は量子論で書かれており、量子論をちゃんと定式化しようと思うと波束が必須となります。波束の効果がニュートリノで見られるのではないかという期待があり、近年も活発に研究が進んでいます。このセミナーでは、私の最近の波束に関係する研究、特にニュートリノの脱可干渉性(decoherence)に関するものを皆さんと議論したいと思います。

レプトンの異常磁気能率の精密検証の現状とQED計算

講師: 仁尾 真紀子氏 (理研)
日時:11月6日(月) 15:30~ 注意:普段と時間が異なります。
概要:2021年に引き続き、2023年8月に米国フェルミ国立研究所からミュオン粒子の異常磁気能率(g-2) 測定値の続報が公表されました。この値は、2006年の米国ブルックヘブン国立研究所の測定値と矛盾がなく、不確かさは半分の0.20 ppm (10^{-6}) までになりました。2021年発表の素粒子標準模型に基づく世界的な合意としての理論値とは5σ以上離れていますが、新物理の兆候とは言えません。理論値のうち、ハドロンの寄与について多くの新たな進展があり、理論値自体が混沌としているためです。   一番軽い荷電レプトンである電子のg-2も、2021年に新測定値が公表され、0.12 ppb (10^{-9}) の精度にまで到達しました。理論値を求めるためには、これと同精度の微細構造定数αが必要ですが、2018年に0.20 ppb、2020年に0.081 ppb の値がそれぞれ得られ、電子g-2でも新物理を探索できる可能性が高まっています。   これらのレプトンg-2での精密検証の現状を紹介するとともに、検証を可能にしている量子電磁気学(QED)計算における私たちの仕事と展望についてお話させていただきます。

μTRISTAN

講師: 北野龍一郎 氏 (KEK)
日時:10月30日(月) 16:30~
概要:The ultra-cold muon technology developed for the muon g-2 experiment at J-PARC provides a low-emittance μ+ beam which can be accelerated and used for realistic collider experiments. We consider the possibility of new collider experiments by accelerating the μ+ beam up to 1TeV. Allowing the μ+ beam to collide with a high-intensity e- beam at the TRISTAN energy, E=30 GeV, in a storage ring with the same size as TRISTAN (a circumference of 3km), one can realize a collider experiment with the center-of-mass energy √s=346 GeV, which allows the production of Higgs bosons through vector boson fusion processes. We estimate the deliverable luminosity with existing accelerator technologies to be at the level of 5x10^33 cm^-2 s^-1, with which the collider can be a good Higgs boson factory. μ+μ+ colliders up to √s=2 TeV are also possible using the same storage ring. They have the capability of producing the superpartner of the muon up to TeV masses.

type A(djoint) grand gauge-Higgs unification

講師: 山下 敏史 氏 (愛知医科大
日時:10月23日(月) 16:30~
概要:大統一理論の一種である、「type-A grand gauge-Higgs unification」について紹介する。 本シナリオの特徴は、大統一対称性を破る随伴ヒッグス場と大統一ゲージ場を統合することである。ゲージ場とスカラー場を統合する機構としては、高次元ゲージ理論においてゲージ場の余剰次元成分が非自明な期待値を持つことにより対称性を破る、所謂細谷機構を採用する。細谷機構を大統一対称性の破れに適用するには、ヘテロ型超弦理論にもあったのと同様の困難があるが、ヘテロ型超弦理論で知られている解決策を適用し逃れられる。 細谷機構においては、その秩序変数は(代数ではなく)ゲージ群の要素となるため、パラメータ空間がコンパクトになり、大域的な真空構造が決定されるという特徴がある。このため、超対称模型において所謂「Doublet-Triplet splitting」問題がSU(5)大統一理論でも自然に解決されうる。同時に、超対称性の破れのスケールに置いて随伴カイラル超場の存在が予言され、超対称性の破れがTeVスケールであれば実験で検証可能である。また、この随伴カイラル超場を活用してDirac gaugino模型を実現することも可能であり、この場合、超対称性の破れのスケールを中間スケール(10^{10} GeV程度)に取ると、ヒッグス場の4点結合が0になることも説明できる。   今年発表した、ヘテロ型超弦理論において3世代模型を実現するのに必要と考えられているZ_3模型への拡張も含め、これらの一連の研究について紹介する。

Interactions between several types of cosmic strings

講師: Siyao Li 氏 (東工大)
日時:9月25日(月) 16:30~
概要:In the very early universe, cosmic strings could be formed as a linear kind of topological defects through the Kibble-Zurek mechanism during a thermal phase transition associated with spontaneous symmetry breaking. With the expansion of the universe, cosmic strings give rise to a web-like structure known as a string network system. To understand the evolution and potential observations of a string network system, it is important to know how cosmic strings interact with each other in a network. We study the interaction of several types of static straight cosmic strings, including local strings, global strings, and bosonic superconducting strings with and without magnetic currents, both analytically and numerically. We find that in the case of bosonic superconducting strings, an additional scalar field serves as an additional source of attraction, particularly over short distances. Our analysis reveals that such a string with two winding numbers is energetically favorable compared to two strings with single winding numbers in a certain parameter region, which may lead to higher formation rate of bound states(Y-junctions) at intersections of bosonic superconducting strings.

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講師:Jorge Gigante Valcarcel 氏 (東工大)
日時:9月11日(月) 16:30~
概要:TBA

カイラル磁気不安定性による初期宇宙のレプトンフレーバー非対称性への制限

講師:鎌田 耕平氏(東京大学大学院理学系研究科 ビッグバン宇宙国際研究センター)
日時:7月21日(金) 16:00~
概要:カイラル磁気効果に代表される、カイラル量子異常に起因する異常輸送現象は近年ハドロン物理学や物性物理学の分野で研究が進められている。 一方、初期宇宙においても、宇宙の温度が100 TeV以上の時期にはカイラリティが良い保存量となっており、異常輸送現象によって興味深い現象が起こりうる。 その代表的なものに、系の初期条件にカイラル非対称が与えられている場合にヘリカルな磁場が増幅されるカイラル磁気不安定性が挙げられる。それによって増幅されたヘリカルな磁場は、電弱相転移時にバリオン数を宇宙に供給する。 本講演では、宇宙の初期条件としてレプトンフレーバー非対称性が比較的大きく与えられている場合、カイラル磁気不安定性が不可避的に成長することを説明し、バリオン非対称を作りすぎてはいけない条件からそれに上限値を与えられることを説明する。 レプトンフレーバー非対称性は、もしレプトン非対称の総計がバリオン非対称のそれと同じであった場合、あまり強い制限を与えられていなかった。この制限により、初期宇宙の熱史とその背後にある物理に新たな知見が得られたことになる。

原子核乾板を用いたニュートリノ反応精密測定実験,NINJAにおけるニュートリノ研究の状況

講師:霞 綺花氏(名古屋大学)
日時:6月30日(金) 16:00~
概要:F 研は原子核乾板を用いた研究を行っています。原子核乾板は写真フィルムの一種です。 原子核乾板中の AgBr 結晶一つ一つが検出器の役割を持つため,位置分解能が非常に高く,素粒子実験で古くから用いられてきました。 F 研では実験に適した原子核乾板や検出器の開発を行ってきました。 現在では,ニュートリノ実験,ガンマ線天体の観測,暗黒物質探索, 重力と量子力学の関係や未知の短距離力の探索,など分野で実験を推進しています。 一方で 実験のスケールが大きくなり,原子核乾板から飛跡情報を高速で取得する技術はますます重要 となっています。 この要請から F 研では飛跡読取装置の開発も行われ続けています。
 NINJA(Neutrino Interaction research with Nuclear Emulsion and J-PARC Accelerator)実験は F 研が 中心となって進めている実験の1つです。 J-PARC の大強度加速器ニュートリノ ビームと原子核乾板を用い,ニュートリノ 反応の精密測定を行っています。 NINJA 実験では短基線でのニュートリノ振動の 有無を探索し,ステライルニュートリノの 検証や Non Standard Interaction の探 索も目指しています。 NINJA 実験は2019 年に初の物理ランを行い,現在は 解析を進めています。 また,今年度の秋ごろには2回目の物理ランが予定されており,それに向けた準備を進めています。
 本講演では F 研で行われている研究の紹介並びにニュートリノ研究,特に講演者が行って いる NINJA 実験で明らかになる物理,これまでの結果と最新の状況について話す予定です。

輻射シーソー模型における電弱バリオン数生成

講師:青木真由美氏(金沢大学)
日時:6月23日(金) 16:00~
概要:ニュートリノの質量や暗黒物質、バリオン数非対称性の起源は未だ謎であり、それらを解くには標準模型を超える新物理が必要である。 ニュートリノに質量を持たせる機構としてシーソー機構が知られているが、特に輻射効果を利用する模型は「輻射シーソー模型」と呼ばれている。 先行研究(Aoki, Kanemura, Seto (PRL102(2009))では、暗黒物質を含む3ループの輻射シーソー模型を提案し、さらに電弱バリオン数生成機構がはたらく可能性を指摘した。 この模型は上記3つの問題を同時に解決しうるが、先行研究では簡単のためにCPの破れを無視した議論を行なった。 本セミナーでは、CPの破れを取り入れた3ループ輻射シーソー模型を紹介し、バリオン数非対称性や現象論について議論する。

場の量子論に基づいた2粒子間の量子もつれ生成と場の不確定性関係に関する研究

講師:杉山祐紀氏(九州大学)
日時:6月2日(金) 16:00~
概要:重力理論と量子力学の統一理論と考えられている量子重力理論の解明は、初期宇宙などの極限状態を理解する上で必須である。 しかし、現在満足のいく量子重力理論は構築されておらず、重力場に起因する量子現象すら実験的に確認されていない。 こうした現状を踏まえ、非相対論的な領域で量子重力の効果(重力を媒介することによる量子もつれ生成)を実験的に観測できる可能性が示され大きな注目を集めている。 本講演では、動的な場による粒子間の量子もつれ生成を場の量子論の観点から示す。 その後、量子もつれ生成と場の不確定性関係との間の関係性について議論し、量子化された重力場がなぜ必要であるかを紹介する。

フレーバー物理で探る新物理

講師:山本恵氏(広島工業大学)
日時:5月29日(月) 15:00~ 注意:普段と曜日が異なります。
概要:素粒子標準模型の確立に大きな役割を果たしてきたフレーバー物理は、新物理に対する感度が高いことも知られており、フレーバー物理現象の中に新物理の兆候が見出せるのではないかと期待されています。 LHCやBelle IIなどにおける加速器実験において、フレーバー物理現象の精密測定が進んでおり、直接探査で新物理の兆候が見つかっていない現在、フレーバー物理による間接探査の重要性は増していると考えられます。 このセミナーでは、フレーバー物理の最近の状況と進展を紹介し、フレーバー物理で探る新物理の可能性についてトークしたいと思います。 また、フレーバー対称性に注目した有効理論的アプローチと、検証可能性についても議論したいと思います。

ニュートリノで探る宇宙と素粒子           会場:教育文化ホール

講師:梶田隆章氏(東京大学)
日時:5月 26日(金)13:30~15:00 注意:普段と開始時刻,会場が異なります。
概要:1998年、神岡の地下で行われているスーパーカミオカンデ実験で、素粒子ニュートリノに小さい質量があることがわかりました。 この発見についてお話しし、その意味や、今後のニュートリノ研究で探る宇宙の謎についてお話いします。

重力波天文学とKAGRA               会場:教育文化ホール

講師:梶田隆章氏(東京大学)
日時:5月 26日(金)16:00~17:30 注意:普段と開始時刻,会場が異なります。
概要:2つのブラックホールが合体した時などに観測可能な重力波が出ます。 岐阜県飛騨市神岡に設置されたKAGRAは世界の研究者と協力して重力波を観測して重力波の天文学を切り開きたいと考えています。 本講演ではKAGRAの現状と、KAGRAの目指すサイエンスについてお話しします。

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講師:Cristina Carloganu 氏
日時:5月15日(月) 16:00~ 注意:普段と曜日が異なります。
概要:TBA

世界最高感度でミュー粒子稀崩壊過程を探索するCOMET実験

講師:吉田学立氏(大阪大学大学院理学研究科)
日時:5月12日(金) 16:00~ 注意:普段と曜日が異なります。
概要:素粒子の標準模型(理論)は、様々な素粒子反応過程を精度良く説明・予言することが可能である。しかしながら、反物質が物質に比べて極端に少ない物質優勢な現在の宇宙の謎や暗黒物質・暗黒エネルギーの正体、極端に小さなニュートリノ絶対質量など、多くの問題を解決するには至っていない。 中性レプトンであるニュートリノは、2000年代のニュートリノ振動現象の発見により、フレーバー数が保存しないことが明らかになった。 一方で、ミュー粒子の稀崩壊過程の探索は1940年代より続いているが、未だに上限値を与えるのみで、発見には至っていない。いくつかの新物理モデルでは、ミュー粒子の稀崩壊分岐比が \(10^{-15} \)~\( 10^{-18}\)程度で予言されており、稀崩壊過程の発見によって、新物理に対して、なんらかの示唆を与えることが期待されている。 茨城県東海村J-PARCにおいて、世界最高強度のミュー粒子ビームを用いたミュー粒子の稀崩壊探索を狙うCOMET実験が絶賛準備中である。ミュー粒子をアルミ標的に静止させ、ミュー粒子原子を生成し、軌道ミュー粒子の崩壊を精密に測定することで、ニュートリノを伴わない崩壊過程、ミュー粒子・電子転換過程の探索が可能となる。 本セミナーでは、過去のミュー粒子稀崩壊実験の簡単なレビューから、COMET実験Phase-Iの計画・設計と準備状況、将来展望について講義を行う。

Unphysical topological charge in nonabelian gauge theory

講師:山中長閑氏(名古屋大学)
日時:4月 19日(水)16:00〜 注意:普段と曜日が異なります。
概要:We first introduce basic facts of nonabelian gauge theory and quantum chromodynamics. We then show that the topological charge of nonabelian gauge theory is not observable, which leads to the resolution of the Strong CP problem. We then inspect the phenomenological consequences to particle physics and experiments.

新物理抑制メカニズムを持つ複素シングレットスカラー拡張模型における電弱相転移およびその現象論的帰結

講師:出川智香子氏(お茶の水大学)
日時:4月 7日(水)16:00〜
概要:素粒子標準模型はヒッグス粒子の発見により一応の完成を見たが、暗黒物質の正体やバリオン数の非対称性など標準模型では説明できない現象により、拡張は必須とされる。一方で、標準模型を超える新物理は未だ観測されていない。 標準模型に複素シングレットスカラー場を1つ導入した模型(Complex singlet extension of the SM; CxSM)には2つのヒッグス粒子が存在する。これらの質量が縮退しているとき、コライダー実験のシグナルが標準模型のものとして観測される。さらに、暗黒物質直接探索実験により強い制限が与えられている暗黒物質核子散乱断面積も抑制される。このような新物理抑制メカニズムを持つ縮退スカラーシナリオにおいて、バリオン数生成に必要な電弱一次相転移の実現可能性を調べ、現象論的な帰結として電弱相転移由来の重力波を評価する。加えて、模型のパラメーターを決定する指針として多重臨界点原理を取り上げ、電弱相転移との関連性を議論する。